導入150件を超えたセルフ設置型計測器
環境省「ブロックチェーン技術を活用した再エネCO2排出削減価値創出モデル事業」の一環として6月より配布を開始した、セルフ設置型の計測器(リモート電力センサ)の導入件数が150台を超えました。本機は太陽光発電を設置している家庭の自家消費電力を自動計測することを目的としており、自家消費電力量は環境価値(CO2削減価値)として姿を変えることで、需要家との取引が可能になります。
これまでも再生可能エネルギーの価値だけを取引する制度として、「グリーン電力証書」「J-クレジット」「非化石証書」などがありましたが、いずれもコストや人手、時間のかかる認証プロセスなど、さまざまな課題を抱えています。こうした課題をデジタル技術の活用によって、低コストかつ自由に取引できるシステムを構築し、スピーディーに約定、清算までを行うことを目指しているのが環境省の実証事業です。
また本機は、クランプ式交流電流(CT)センサを採用しており、工事資格などを持たない一般の人でも簡易に設置が行えるのが特徴です。機器の普及や制度の実現のためには、設置コストの削減が欠かせないことから、ユーザーによるセルフ設置を前提に開発を行いました。実際に計測器を手にした方の多くが、説明書を見ながら自身で設置を行っています。
私たちが想い描く電力の未来
PV-Netでは設立以来、会員が所有する太陽光発電の発電量データの収集と活用に取り組んでいます(PV健康診断)。太陽光発電メーカー各社でも電力データを記録していますが、メーカー間での共有は行われておらず、自社ユーザーのみへのサービス提供にとどまっています。一方で今回設置を進める計測器は、「発電量」「買電量」「売電量」「自家消費量」など、さまざまなデータが自動で取得できるほか、メーカーに依らないPV-Netがデータ管理に関わることから、あらゆるメーカーの太陽光発電のデータを比較、共有することが可能となります。つまり本機の設置は実証事業への参加だけにとどまらず、PV-Netの活動を深化させ、ひいては太陽光発電の活用を進化させてくれる可能性を持っているというわけです。
さらにPV-Netでは、会員同士、顔の見える関係性をつくりながら、学び合い、支え合う活動を展開してきました。同じエリアに暮らす会員同士が、太陽光発電システムの発電状況を比較・評価するPV健康診断の近隣比較機能も、こうした理念から生まれたものです。この会員交流の先には、太陽光発電から生まれた電気を、会員同士でまとめたり、シェアすることを見据えています。その実現のカギを握るのが、電力データの取得と通信を行うことのできる計測器であり、データに基づいた正確な電力需要や発電量の予測です。
自宅の屋根に太陽光発電を設置するみなさんは、電気を消費するだけではなく、生産し、販売しています。そして私たちが想い描いているのは、その電気を自分の好きな人や地域に供給することのできる未来です。本計測器のセルフ設置を通じて、一緒に電力の世界を変えていきましょう。